家はふつうこの家

間取りはどう考えればよいでしょう

食べ物でも、時間とともに、カサカサに乾燥するものもあり、腐ってグジャグジャになるものもあり、だんだんと発酵して味が出てくるものもあり、とさまざまですね発酵学者の小泉武夫さんに聞いたことですが、微生物の働きでたんぱく質やデンプン等は変化しますが、乳酸菌に代表されるような有用菌や食用菌の働きで変化する場合と、腐敗菌の働きで変化する場合とでは、同じ微生物による変異なのに全然違うそうですたとえば発酵食品は、チーズにしろ納豆にしろ、ニョクマムやナンプラーといった魚醤的なものにしろ、たしかに一種の悪臭を放ちます。けれども、人間は本能的に、これらの発酵したものと腐敗したものは、自然に区別するんだそうです。クサヤの干物の匂いをかいだときに、みな臭いっ!と言うけれど、そう言いながら不思議に嫌な顔をしないと言います。本質的な意味ではそれほど嫌じゃないのです腐った魚や死骸などの臭いをかいだときのようなうつと息が詰まるような臭さと、発酵しているクサヤや納豆のような臭さとは、同じ臭いといっても違う。人間はそれが食べ物であるかどうかということを本能的に見分ける力があって、それを食べたことのない子供でも、臭いと言いながら、本当の腐敗臭と発酵臭とは違った受け取り方をするそうです。
ま、これは一種の冗談なのですが、もしかして建築素材でも、それと同じことがいえやしないか、ということになりました。時間が経って変化していくうちと、どんどん味わいが出てきて、古びていてもよい感じがするという、つまり発酵していくものとに分かれてくるだろう。
だんだんと汚らしく見すぼらしくなって腐っていくものたとえば、プレハブの小屋があるとして、十年もそのままで立ち腐れていると、眉をしかめたくなるような汚らしさを感じる。これは、プレハブのトタンやプラスチックなどが、腐敗していく素材だからだと考えてみたらどうでしょうかずいぶん年季が入っていても、古い茅葺きの農家のごときは、芝棟になっていて、反対に、嫌だなという感じはしない。
少し軒文字通り発酵したような茅葺き屋根に草木がたくさん生えているなんてことに昨日今日できた新しい石垣至る所から草が生え、角がとれてきてしまっているような石垣のほうがはるかかしが傾いで、なると、また、これは絵になるというような感じさえある。
数百年経って苔むして、石垣のようなものは、より、に味わいがあっていい。
こういった木や石といったものは、発酵する素材に当たる、とこう認定したい。
じゃあ、鉄はどうか、というと、これはなかなか難しい。鉄は、せっせとこまめにペンキ塗りでもしないかぎり、どんどん錆びて腐っていきますから、鉄骨でできたプレハブ的なものは、たちまち経年変化とともに汚くなっていく。鉄の階段なども皆腐っていくわけです。この限りでは鉄は腐敗素材みたいに見えるけれど、しかし、よく手入れされ錆びないように保存されたものは、ヨーロッパではよく見かけるけれど、あれでなかなか味わい深いものになっていきますから、そうすると発酵素材と見てよろしいということになります。

家を見てもすばらしく見えてくる

家は建てて終わりではありませんでも錆びないものは腐らないのかというと、そういうわけでもないステンレスで造ったらどうか。
たしかに階段をステンレスで造れば錆びたりはしない。
腐食もしないだけれども、これは逆にいっまでたっても味わいが出ない素材で、むしろステンレスのほうが、よりはるかに腐敗素材じゃないかなという風にみておきたいのです。
軟鉄·鋳鉄なんかコンクリートブロックはどうか。あれもやっぱり腐敗のほうです。コンクリートブロックが長年たって味わいがでるかどうかという感じはちょっとしない。だけど、石造りだったら味が出る。レンガも味が出る。そういうものは腐敗ではなくて発酵する素材だと思います。というふうに、建築素材を片端から発酵するものと腐敗するものと分けていくとじつに面白いプラスティックボードは、むろん腐敗のほうです。
ども瓦屋根だったら発酵素材になるでしょうね。
いわゆる波板も腐敗。
トタン屋根も腐敗素材です。
けれ残念なのは、せっかくの茅葺きのきれいな屋根をトタンで覆っている場合で、これはせっかくの発酵素材をわざわざつまらない腐敗素材で覆っていることになります。まあいろいろと事情はあるのでしょうけれど。
それから、アルミはどうか。
これはもうちょっと時間が経ってみないとわからないけれども、たぶん腐敗素
材のほうじゃないだろうか。微妙なところですね。
ために、その経年的帰趨が良く見えて来ません。
素材自体が新しくて、まだ建築素材としての実績が日浅いガラスはどうだろうか。たぶんガラスは発酵素材です。古いガラス窓は再生して使うことができる。ステンドグラスなどはその代表的なもので、ガラスというもの自体は古くなったからといって、別に風情が失われるものではない。むしろ古い、すこしよろよろしたガラスなんかに味わいがあったりする。
では、木材はどうか。これは典型的な発酵素材で、日が経つにつれ、使い込むにつれ、だんだんと味わいが出てきます。古い木材の素材感、味わいは、圧倒的なものがあります。しかし、味わいを出すためには、こまめに手入れをしてやらなければならない。

 

マンションのような集

マンションのような集合しょっちゅう拭くとか、塗装をするとか、シロアリに食われないように防虫加工を施すといった手当てが必要になる。床を雑巾がけしたり、柱をぬか袋で磨くといった日常的な手入れをしないと、残念ながら腐敗素材のほうにいってしまうかもしれません。
木材は、そういう意味で、住む人のが反映していく素材です。同じ家でも引っ越して空家になったとたんに、家というのはたちまちお化け屋敷のようになってしまう。同時に、木材もどんどん腐敗がすすんでいきます。
コンクリートは、木材と同様、もしかしたら発酵素材かもしれない。でも多くの場合、腐敗素材のほうになってしまう。私の好みではありませんが、モダニズムのコンクリート住宅のように、うまくデザインを施し、丁寧に住み続けた場合は、時間が経っても古びた感じがせず、よい味わいが出てきます。
けれども、多くの場合、公団住宅といった建物は、ンクリートの建物の場合、コンクリートは腐敗素材になってしまう可能性が高い。たとえば、学校や官公庁、あまりデザインなどを考えておらず、どことなく脆い感じもします。こういったコ三、四十年もすると急激に腐敗していく。
木の素材というのは、基本的には発酵素材なんだけれど、手入れを怠ると腐敗になっていく。コンクリートというのは基本的には腐敗素材なんだけれど巧みに造ったときには発酵素材になる。だからこれから長らく家を使い回そうというときに、こうしたことも考えに入れて、一つ一つの部材にいたるまで、どういう素材で造るのがいいのかを合目的的に考えていかないといけないだろうと思います。

腐敗する建具、発酵する建具たとえば建具についても考えておきましょう。
昔、大正末から昭和の初めぐらいに、ひっかきタイルを貼り回したデザインの建物がたくさん造られたことがあります。
家を見てもすばらしく見えてくる

工務店だからという固定概念は捨てて

食べ物でも、時間とともに、カサカサに乾燥するものもあり、腐ってグジャグジャになるものもあり、だんだんと発酵して味が出てくるものもあり、とさまざまですね発酵学者の小泉武夫さんに聞いたことですが、微生物の働きでたんぱく質やデンプン等は変化しますが、乳酸菌に代表されるような有用菌や食用菌の働きで変化する場合と、腐敗菌の働きで変化する場合とでは、同じ微生物による変異なのに全然違うそうですたとえば発酵食品は、チーズにしろ納豆にしろ、ニョクマムやナンプラーといった魚醤的なものにしろ、たしかに一種の悪臭を放ちます。けれども、人間は本能的に、これらの発酵したものと腐敗したものは、自然に区別するんだそうです。クサヤの干物の匂いをかいだときに、みな臭いっ!と言うけれど、そう言いながら不思議に嫌な顔をしないと言います。本質的な意味ではそれほど嫌じゃないのです腐った魚や死骸などの臭いをかいだときのようなうつと息が詰まるような臭さと、発酵しているクサヤや納豆のような臭さとは、同じ臭いといっても違う。人間はそれが食べ物であるかどうかということを本能的に見分ける力があって、それを食べたことのない子供でも、臭いと言いながら、本当の腐敗臭と発酵臭とは違った受け取り方をするそうです。
ま、これは一種の冗談なのですが、もしかして建築素材でも、それと同じことがいえやしないか、ということになりました。時間が経って変化していくうちと、どんどん味わいが出てきて、古びていてもよい感じがするという、つまり発酵していくものとに分かれてくるだろう。
だんだんと汚らしく見すぼらしくなって腐っていくものたとえば、プレハブの小屋があるとして、十年もそのままで立ち腐れていると、眉をしかめたくなるような汚らしさを感じる。これは、プレハブのトタンやプラスチックなどが、腐敗していく素材だからだと考えてみたらどうでしょうかずいぶん年季が入っていても、古い茅葺きの農家のごときは、芝棟になっていて、反対に、嫌だなという感じはしない。
少し軒文字通り発酵したような茅葺き屋根に草木がたくさん生えているなんてことに昨日今日できた新しい石垣至る所から草が生え、角がとれてきてしまっているような石垣のほうがはるかかしが傾いで、なると、また、これは絵になるというような感じさえある。
数百年経って苔むして、石垣のようなものは、より、に味わいがあっていい。
こういった木や石といったものは、発酵する素材に当たる、とこう認定したい。
じゃあ、鉄はどうか、というと、これはなかなか難しい。鉄は、せっせとこまめにペンキ塗りでもしないかぎり、どんどん錆びて腐っていきますから、鉄骨でできたプレハブ的なものは、たちまち経年変化とともに汚くなっていく。鉄の階段なども皆腐っていくわけです。この限りでは鉄は腐敗素材みたいに見えるけれど、しかし、よく手入れされ錆びないように保存されたものは、ヨーロッパではよく見かけるけれど、あれでなかなか味わい深いものになっていきますから、そうすると発酵素材と見てよろしいということになります。

間取りはどう考えればよいでしょう

でも錆びないものは腐らないのかというと、そういうわけでもないステンレスで造ったらどうか。
たしかに階段をステンレスで造れば錆びたりはしない。
腐食もしないだけれども、これは逆にいっまでたっても味わいが出ない素材で、むしろステンレスのほうが、よりはるかに腐敗素材じゃないかなという風にみておきたいのです。
軟鉄·鋳鉄なんかコンクリートブロックはどうか。あれもやっぱり腐敗のほうです。コンクリートブロックが長年たって味わいがでるかどうかという感じはちょっとしない。だけど、石造りだったら味が出る。レンガも味が出る。そういうものは腐敗ではなくて発酵する素材だと思います。というふうに、建築素材を片端から発酵するものと腐敗するものと分けていくとじつに面白いプラスティックボードは、むろん腐敗のほうです。
ども瓦屋根だったら発酵素材になるでしょうね。
いわゆる波板も腐敗。
トタン屋根も腐敗素材です。
けれ残念なのは、せっかくの茅葺きのきれいな屋根をトタンで覆っている場合で、これはせっかくの発酵素材をわざわざつまらない腐敗素材で覆っていることになります。まあいろいろと事情はあるのでしょうけれど。
それから、アルミはどうか。
これはもうちょっと時間が経ってみないとわからないけれども、たぶん腐敗素
材のほうじゃないだろうか。微妙なところですね。
ために、その経年的帰趨が良く見えて来ません。
素材自体が新しくて、まだ建築素材としての実績が日浅いガラスはどうだろうか。たぶんガラスは発酵素材です。古いガラス窓は再生して使うことができる。ステンドグラスなどはその代表的なもので、ガラスというもの自体は古くなったからといって、別に風情が失われるものではない。むしろ古い、すこしよろよろしたガラスなんかに味わいがあったりする。
では、木材はどうか。これは典型的な発酵素材で、日が経つにつれ、使い込むにつれ、だんだんと味わいが出てきます。古い木材の素材感、味わいは、圧倒的なものがあります。しかし、味わいを出すためには、こまめに手入れをしてやらなければならない。

マンションのような集

ロームシアター京都しょっちゅう拭くとか、塗装をするとか、シロアリに食われないように防虫加工を施すといった手当てが必要になる。床を雑巾がけしたり、柱をぬか袋で磨くといった日常的な手入れをしないと、残念ながら腐敗素材のほうにいってしまうかもしれません。
木材は、そういう意味で、住む人のが反映していく素材です。同じ家でも引っ越して空家になったとたんに、家というのはたちまちお化け屋敷のようになってしまう。同時に、木材もどんどん腐敗がすすんでいきます。
コンクリートは、木材と同様、もしかしたら発酵素材かもしれない。でも多くの場合、腐敗素材のほうになってしまう。私の好みではありませんが、モダニズムのコンクリート住宅のように、うまくデザインを施し、丁寧に住み続けた場合は、時間が経っても古びた感じがせず、よい味わいが出てきます。
けれども、多くの場合、公団住宅といった建物は、ンクリートの建物の場合、コンクリートは腐敗素材になってしまう可能性が高い。たとえば、学校や官公庁、あまりデザインなどを考えておらず、どことなく脆い感じもします。こういったコ三、四十年もすると急激に腐敗していく。
木の素材というのは、基本的には発酵素材なんだけれど、手入れを怠ると腐敗になっていく。コンクリートというのは基本的には腐敗素材なんだけれど巧みに造ったときには発酵素材になる。だからこれから長らく家を使い回そうというときに、こうしたことも考えに入れて、一つ一つの部材にいたるまで、どういう素材で造るのがいいのかを合目的的に考えていかないといけないだろうと思います。

腐敗する建具、発酵する建具たとえば建具についても考えておきましょう。
昔、大正末から昭和の初めぐらいに、ひっかきタイルを貼り回したデザインの建物がたくさん造られたことがあります。